ご家族に連れられて、というご来店があります。
ご本人は、少し不服そうです。
「俺は困ってないんだけどな」
隣で娘さんがおっしゃいました。
「テレビの音が大きいの。あと、何度も聞き返すの」
聞こえのご相談は、たいてい本人ではなく、家族の一言から始まります。
視力が落ちると、自分で気づきます。文字がぼやけるからです。
でも聴力は違います。
聞こえていない音は、「無かったこと」になるんです。
聞き逃した言葉は、そもそも聞こえていないので、逃した自覚がありません。
テレビの音量が上がっていくのも、少しずつなので気づかない。
だから、周りが先に気づきます。
「テレビの音、大きくない?」
この一言は、耳からの警告を、家族が代わりに伝えてくれている言葉なんです。
聞こえにくさの本当の怖さは、不便さではありません。
聞き返すのが申し訳なくなる。だんだん、会話に入るのが億劫になる。
集まりに出なくなる。口数が減る。
耳が遠くなると、人との距離まで遠くなってしまうんです。
視力も聴力も、心と体の健康を保つための、大切な窓口です。窓が曇れば、入ってくるものが減ります。
ご家族が「最近、おじいちゃん静かになったね」と感じたら。それは性格の変化ではなく、聞こえの変化かもしれません。
「補聴器って、高いんでしょう」「合わなかったらどうするの」
ご心配は、ごもっともです。だから私たちは、貸出しでお試しいただいてから決めていただいています。
実際の暮らしの中で使ってみる。テレビを観て、家族と話して、外を歩いてみる。
それから、じっくり決めればいいんです。
もうひとつ大事なことを。補聴器は、メガネのように掛けた瞬間から快適、という道具ではありません。
脳が音に慣れるまで、調整を重ねながら少しずつ育てていくものです。
だからこそ、買う場所ではなく、その後も付き合ってくれる場所で選んでください。
メガネセンターでは、医師が携わる検査体制のもとで、聴力の検査を受けていただけます。
検査を受けたからといって、補聴器を勧め倒すようなことはしません。まだ必要ない方には、そうお伝えします。
「俺は困ってない」というお父さん。
そうかもしれません。でも、確かめてみる価値はあります。
ご家族と一緒に、お近くの店舗へどうぞ。